働き方

小さな旅館の女将として25年。体力・お金・人生を見つめ直して出した答え

私は、両親が経営する10部屋の旅館を25年間経営していました。
一見すると「旅館の仕事って楽しそう」「お客様に喜んでもらえるやりがいのある仕事」と言われることも多いですが、実際には想像以上にきつい面もたくさんあります。

特に、小規模な旅館では「接客だけ」「フロントだけ」といった分業ではなく、接客・配膳・フロント・清掃・調理補助まで、ほとんどの仕事を自分たちで回していかなければなりません。
さらに私は、業者さんとの打ち合わせや旅行会社とのやりとり、経理なども兼任していたため、気づけば一日中ずっと働いているような感覚になることも少なくありませんでした。

小さな旅館の女将として25年間働いてきた中で、「これは本当にきつかった」と感じたことがいくつかありました。
この記事では、その中でもとくに大きかった3つのことと、その経験から導き出した私自身の「これからの生き方」について書いています。

① 体力的な限界
旅館の経営は、想像以上に体力勝負です。

現場に立てば、接客・配膳・清掃など、従業員と同じ仕事をこなしながら、全体の進行にも気を配る必要があります。
人手が足りないときは、自分が動くしかありません。

休館日を作ってスタッフに休んでもらう日も、私は業者さんとの打ち合わせ、普段できない旅行サイトのプラン作成、経理作業、消耗品の買い出しや銀行に行くなど、結局は仕事で一日が終わっていました。
「休みだけれど、体も頭も休んでいない」──そんな日が当たり前になっていました。

年齢を重ねるにつれて、以前よりも疲れが取れない感覚が強くなり、「この働き方をいつまで続けられるのだろう」と考えるようになりました。
体力が落ちてきても、仕事の量や責任は減ってはくれません。

② 借入と経営のプレッシャー
経営者として一番大きかったのは、お金に対する責任でした。

旅館を維持していくためには、設備投資や修繕費など、常にお金が必要になります。
建物は時間が経てば経つほど傷みが増え、その分維持費もかかっていきます。

ゴールデンウィークや夏休みの繁忙期も、天候や情勢によっては予約が思うように伸びないことがあります。
そこに予想外の出費が重なると、「どうやって乗り切ろうか」と、そのことで頭がいっぱいになりました。

誰かに代わってもらうこともできず、すべて自分で判断しなければならない。
その孤独さも、プレッシャーをさらに大きくしていたように思います。

③ 自分の人生を考えるようになった
こうした状況の中で、少しずつ考えるようになったのが、「このままでいいのか」ということでした。

気づけば、仕事中心の生活が当たり前になり、自分の人生についてゆっくり考える時間はほとんどありませんでした。
「この先もずっとこの働き方を続けていけるのか」
「自分は本当はどう生きたいのか」

そんな問いが、少しずつ大きくなっていきました。
もっと正直に言うと、それは問いというより、

「この生活を辞めたい」

という強い気持ちでした。

そして、この3つの経験は、ただつらかっただけではありません。

振り返ってみると、そこには多くの学びと気づきがありました。
働き方やお金との向き合い方、そして「自分の人生を自分で選ぶ」ということです。

その結果、私は新しい道を選ぶことを決めました。

それが、「旅館売却」から「転職」への一歩でした。

旅館売却や転職活動の具体的な流れ、そしてその過程で起きた小さな奇跡を、別の記事でくわしく書いていこうと思います。

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